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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。 2017年7月22日 第663回 DNAの不規則な塊を世界で初めて確認 DNAはひものような形状で太さはわずか直径2ナノメートルですが、長さは2メートルもあります。人間の細胞の大きさは様々ですが、おおよそ0.02ミリメートルとすると細胞の長さの10万倍もの長さのひもを細胞の中に押し込むことになります。しかも、必要なタイミングで必要な情報をDNAから読み出さなければなりませんので、絡み合わないようにする必要もあります。 そのため細胞はDNAを上手に折りたたんで収納していると考えられています。ところが、ここ数年の研究でこの規則正しい構造は存在せず、不規則に核のなかに収納されていることがわかってきました。 右の図のようにDNAはまず「ヒストン」という糸巻きの形をしたタンパク質に巻きとられて、直径約11ナノメートルの「ヌクレオソーム」を作ります。ここまではいいのですが、今から40年以上前に提唱され、これまで信じられていた説では、このヌクレオソームがさらにらせん状に規則正しく折りたたまれることによって直径約30ナノメートルの「クロマチン線維」を形成し、またさらに、らせん状に巻かれるとされていました(右図左側)。 国立遺伝学研究所では2008年より電子顕微鏡やX線解析によって、規則正しいクロマチン線維は存在せず、ヌクレオソームが不規則に細胞内に納められていることを提唱してきました。ですが、クロマチン構造は数十から数百ナノメートルと非常に小さく、当時の顕微鏡技術では生きた細胞の中で本当にそのように不規則であるかどうかを見て確かめることはできませんでした。 今回の研究で、ヌクレオソームの1個1個を観察できる超解像蛍光顕微鏡を構築することで、生きた細胞の中でDNAがどのように収納されているのかを観察することに成功しました。 その結果、クロマチン線維は予測通り存在せず、多数のヌクレオソームが不規則に折りたたまれて直径約160ナノメートルのDNAのかたまりであるクロマチンドメインが作られ、しかもこれが核内でダイナミックに動きまわっていました。 細胞が活動するときには多くの場合DNA上の遺伝情報を検索するところから始まります。しかし、核内において遺伝情報を検索する際、探す領域が膨大だと効率が悪くなります。そこで、情報単位でDNAの塊を作ることで情報検索の制御や効率化に関わっているのかもしれません。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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