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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。待望の人工衛星編も
2017年8月よりスタートしました。 2017年10月28日 第677回 分子コンビナート 細胞の中には化学反応でいろいろな物質を作り出す、酵素というタンパク質分子が膨大な量含まれています。私達が生きていくために必要な栄養もエネルギーも細胞の材料もすべて酵素による化学反応で作られています。 酵素反応のイメージ:酵素の種類によってどのような材料を与えると、どのようなものが出来上がるか決まっています。その酵素とは関係ない材料を与えても何も作りません。 酵素の化学反応をモノ作りに活用する取り組みは古くから行われています。古代エジプトのピラミッド建設現場においては報酬としてのビールを、現在ではナタデココ、デニム染色も酵素反応です。多くの場合、そのような酵素の反応は細胞を使って行うのですが、酵素を取り出して、基盤の上にきちんとならべることができれば、それはあたかもナノスケールの化学コンビナートのように機能するはずです。 ですが、化学コンビナートがパイプやタンクを適当に並べただけでは成り立たず、きちんと部品を設計して配置するのと同様に、酵素を並べてもの作りをしようと思えば、必要な酵素を計画的に配置して、化学反応が連続して起きるようにする必要があります。これを実現するためには、酵素1分子ずつを決まった場所に並べるナノレベルの作業が必要となります。 2000年代以降のDNAナノテクノロジーの発展によって、DNAナノ構造体を連結器のように使用して酵素分子1個ずつを狙った位置に配置することが可能になりました。これは、DNAは決まった相手としか結合しない、という性質を利用して、高性能な糊として使用する技術です。 京都大学エネルギー理工学研究所の研究者らは酵素を自然状態と全く同じ生きた状態を維持して配置する糊「DNA結合性アダプター」を開発しました。 それが実際に機能するかどうかを試すために、次世代燃料として活用が進んでいるバイオエタノールの分子コンビナートを作ってみました。その結果、酵素同士を最も接近させて10ナノメートルの間隔で配置したところ、非常に速やかに化学反応が進むことが確認されました。 多数の酵素を複雑に組み合わせれば、本来、自然界では作り出すことができないような特殊な分子も作り出すことができるようなることが期待されています。このような分子コンビナートは酵素反応を使った物質の生産や、細胞内部での酵素反応のメカニズムを解明することにも役立ちそうです。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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