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ビジネスジャーナルで美味しい料理の科学と化学・・・「化学に恋するアピシウス」連載中です。待望の人工衛星編も
2017年8月よりスタートしました。 2017年11月11日 第679回 脳をリバースエンジニアリング 生物の特徴的な行動や振る舞いを機械で再現することによって装置の性能を向上させることがよく行われます。この技術を生物模倣、バイオミメティクスと呼びます。たとえば人間の関節をまねた産業用ロボット、イルカの身体の形をまねた潜水艦、微生物のべん毛をメカに置き換えたマイクロマシンの研究などがそうです。 べん毛=細菌、原生動物の鞭毛虫類、動植物の配偶子、精子などに見られる微小な糸状の細胞小器官。主として体の運動にかかわる。一般に長くて数が少ないことで繊毛と区別する。 [株式会社岩波書店 広辞苑第六版] 米国では、脳を模倣することによってAIをさらに人間の知能に近づけようとする、究極のバイオミメティクス研究が1億ドルをかけたプロジェクト「大脳皮質ネットワークからのマシン・インテリジェンス(Machine Intelligence from Cortical Networks:MICrONS)構想」(略称は頭文字を取ってマイクロンズ構想)として取り組まれています。ハーバード大学、ライス大学、ベイラー医科大学、カーネギーメロン大学などの共同プロジェクトで2016年から進行しています。 囲碁、将棋など、10年前は人間優位だった思考領域においても、近年はコンピューターが人間に勝つことは珍しくなくなりました。ですが、これに満足していない神経科学者、AI科学者は多くいます。その人たちは現在のAIがマシンパワーやアルゴリズムに依存した力任せであることに不満を感じています。 たとえば、人に街中を散歩している犬の写真を見せたとします。写真にはもちろんたくさんのビルや、車、人、看板、ありとあらゆる雑多なものが写っています。ですが、その人に犬はどれでしょう、と問えばイヌがどんな模様でどっちを向いていても、身体の半分が街路樹で隠れていたとしても、一瞬で正しくイヌを指さすはずです。そんな人間であれば簡単にできることをコンピューターでも実現したいと思っています。 科学者がこれに取り組む大きな理由の一つが、すでに行われているAIによるビッグデータの解析が非常にもろいものだからです。たとえば、データの中にコンピューターの誤解、誤認を誘導するようなノイズを加えて、出力結果を希望する方向に誘導する新手のAIテロが起きる可能性も否定できないためです。 マイクロンズ構想は神経科学のアポロ計画ともいわれる野心的なプロジェクトで、ラットの大脳皮質の一辺1ミリメートルの小さなサイコロ状の領域を対象に、すべての詳細な機能と構造を図式化しようとするものです。この中には、約10万の神経細胞とおよそ10億のシナプスが含まれています。 マイクロンズ構想では蛍光色素遺伝子を神経細胞に組み込んだり、従来の電子顕微鏡の100倍以上の4ナノメートルの解像度を持つ電子顕微鏡でスキャンしてコンピューターの中で再構成したりして、すべての細胞とシナプスの再構成を行います。さらに、各々の細胞間がどのように接続されているかを表す「コネクトーム」という配線図のような立体地図の作成と情報が次々に伝達されるニューロンの発火ルートを解析することによる脳のアルゴリズムの解明を目指します。 「ヴォイニッチの科学書」は2001年に前身「ムートン」として配信を開始した世界初の日本語によるインターネット科学ラジオ番組です。毎週ホットな話題や枯れた話題をわかりやすいフレーズに乗せて配信しています。 無料版(短縮版)は iTunesStore やインターネットラジオ局くりらじから配信登録できます。iTunes の検索窓に「ヴォイニッチ」と入力してください。Webからの登録はこちらから。 有料版は株式会社音バンクが発行しているオーディオブック番組です。定期購読はFebe!のサイトからお申込みいただけます。有料版にはより長時間の音声配信並びに、詳しい配布資料を提供しいます。 |
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