ニコニコ動画「ヴォイニッチのココロ」
【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2013年10月19日
Chapter-467 進化できる人工細胞
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大阪大学大学院の研究チームが進化する人工細胞を世界で初めて作成しました。
生物の様々な能力は進化によってもたらされたと考えられています。人工細胞はこれまで様々な研究が行われてきましたが、進化する能力を持つ人工細胞を作成することに成功した例はありませんでした。進化は遺伝子のランダムな変化がその細胞の生存に有利な方向へと働き、しかも子孫の細胞にその特徴が受け継がれなければ進化として成立しないという非常に確率の低い出来事で、そのような複雑な化学反応を実験的に構築することが困難であることがその理由です。
今回、大阪大学大学院の研究グループは、自己複製できるRNAとたんぱく質の合成に必要な成分で人工細胞を作りました。この細胞を37度で育てるとその中でRNA遺伝子から複製機能を持つ酵素が作り出され、遺伝子(RNA)を複製する能力を持つ人工細胞が作り出されたことが確認されました。ただし、栄養不足ですぐにRNAの複製は停止してしまい、細胞が進化することはできませんでした。
そこで、この人工細胞に栄養を供給するために栄養を含んだ水滴を外から添加し、人工細胞とともにかき混ぜたところ、栄養を含む水滴が人工細胞に融合し、人工細胞は大型化しました。かくはんを続けながら細胞を育てたところ、膨張した細胞はやがて分裂し、子細胞は再び膨張を始めました。かくはんし続けることでこのサイクルは繰り返され、半永久的に人工細胞内でRNA遺伝子の自己複製を継続することに成功しました。
こうして人工細胞中でのRNA遺伝子の複製を長期間続けたところ、複製中に生じた突然変異でRNAの多様性が発生し、より複製をしやすいRNAが生まれると、その変異体は元のRNAを駆逐していくことが観察されました。
人工細胞の成長と分裂を継続的に50世代行ったところ、RNAには38カ所の変異が発生し、その結果、複製能力が約100倍に上昇していました。すなわち天然の細胞のように育て続けるだけで自発的に進化する能力を持つ人工細胞の作成に世界で初めて成功したのです。
(東京)2013年12月28日(阿佐ヶ谷LoftA) 一ヶ月前に詳細を掲載します。
※ドリームシップ・サイエンストークライブは都合により次回開催は未定です。
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