ニコニコ動画「ヴォイニッチのココロ」
【ヴォイニッチの科学書《有料版》番組要旨】
2013年12月21日
Chapter-476 2014年は世界結晶年
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今年は世界結晶年です。
1914年にドイツの物理学者マックス・フォン・ラウエがノーベル物理学賞を受賞しました。1895年にドイツの物理学者レントゲンがエックス線を発見しましたが、ラウエはそのとなりの研究室の研究員に採用されてきました。ここでエックス線についての議論をしている過程で、当時の2つの仮説、エックス線は非常に波長の短い電磁波である、結晶の周期構造もそれと同じくらい短い、について考察し、もしその両方が正しいのであれば、結晶を通り抜けたエックス線は影響を受けて変化するはずだ、と考えました。当時、結晶というのは丸い原子がぎゅうぎゅう詰めに隙間無くつまっていると考えられていましたので、結晶構造にある隙間があるという発見は驚きでした。
1913年、イギリスの物理学者ブラッグ親子は、このことから食塩の結晶構造をエックス線を使って解明することを試み、現在知られているナトリウムイオンと塩素イオンが交互に規則正しくならんだサイコロのような結晶構造を持つことを明らかにしました。1913年の時点では原子は未だ統合思念体のような概念としての存在でしたのでラウエの翌年、1915年にブラッグ親子はノーベル賞を受賞しました。3人の研究はエックス線を使って原子の世界を見ることができることを初めて明らかにし、現在に至るまでの結晶学の基礎となりました。
世界結晶年はラウエとブラッグ親子の3人の業績をたたえてその100年目の2014年と国連が定めました。
ちなみに日本でも全く遅れること無く、1913年に東京大学の寺田寅彦先生がエックス線と結晶の関係に関する研究で成果を発表していて、21世紀の今、ナノスケールの結晶解析と操作を武器とした素材産業が世界において日本がトップに君臨し続けていることにつながるわけですね。
日本でも1月23日の東京での世界結晶年オープニングシンポジウムを皮切りに、多くの記念シンポジウムが計画されています。
世界結晶年2014
日本委員会
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